
「中央線推し」の子におすすめの絵本を教えてください
電車が大好きな息子に、これまで読み聞かせてきた絵本は400冊以上。今回はその読書歴の中から、中央線がテーマの絵本を5冊集めてみました(内1冊は特急あずさ)。
1冊読み聞かせるのに15分かかる長編ばかりですが、中央線推しのお子さんなら2歳児でも十分食いつきます。だってページをめくってもめくっても、ずーっと大好きな中央線が出てくるのですから!
中央線もチラッと出てくる、その他の電車絵本はこちらの記事で特集しています。
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いちばんでんしゃのしゃしょうさん(たけむらせんじ)福音館書店 2011年

実際に中央線の車掌さんをしていた著者が、JR東日本を早期退職して出版した絵本「いちばんでんしゃのしゃしょうさん」。
主人公は、やまなかすすむさん。中央線の車掌さんです。
この絵本では、やまなかさんが1番電車(始発)の車掌さんとして三鷹駅から東京駅まで乗務し、折り返してまた三鷹駅に戻ってくるまでのお仕事の模様を描きます。
元車掌さんが書いているだけあって、内容は子ども向けとは思えぬ本格的なもの。例えば、
- 始発乗務のため、前日夜に出勤して乗務員用室で寝る
- (研修資料か!とツッコミたくなるほど丁寧な)安全確認動作の描写や車内アナウンス
- 駆け込み乗車しようとした客が列車と接触しそうになり、緊急停止
- 具合の悪そうなお客さんに声をかける
- 指令からカバンの忘れ物の連絡があり、車内を捜索する
などなど。あまりにリアルな出来事が起こるので、大人の鉄道ファンからも好評です。
ぜひこの作品を読んだ後、実際に車掌さんのお仕事ぶりを観察してみてください。「ほんとに”レピーター点灯!側灯、滅!”って言ってる〜」と興奮すること間違いなしです(笑。
ちなみに1冊読むのにかかる時間は、なんと15分!
幼稚園年長さんから小学生が読むようなボリュームですが、息子はまだ発語50程度だった頃から食い入るように見ていました。なんと4回連続で読まされたことも・・・2歳児を1時間も釘付けにしてしまうのは、この本がホンモノである証拠です。
いちばんでんしゃのうんてんし(たけむらせんじ)福音館書店 2013年

「いちばんでんしゃのしゃしょうさん」の作者による、2作品目。今度は中央線の運転士、なかむらてつやさんが主人公です。
この絵本は、東京駅の乗務員用室で眠るなかむらさんが自動起床装置に起こされるシーンからスタートします。(自動起床装置とは、ぜっったいに寝坊できないように、目覚まし音と共にベッド自体がせり上がって強制的に起こす装置のこと。大宮にある鉄道博物館で、実物が見られます。)
始発電車はすでに、東京駅の1番ホームに停車しています。でも、なかなか出発しません。
なんとこの絵本では5ページもかけて、出発準備の様子を描くのです(笑。運転台に鍵を差し込んで、電源を入れる。パンタグラフをあげる。線路に降りて、メカの点検をする・・・などなど。
電車に興味のない私としては「知らんがな!」と叫びたくなるような細かい描写の数々ですが、このホンモノらしさが子どもを惹きつけます。立川駅に13秒遅れで到着したので、本来1分停車するところを47秒に調整するとか、絵本でやる話じゃないです(笑。でも、子どもにはそれがいいのです。
中央線の他には、山手線、特急成田エクスプレス、南武線も登場するので探してみてください。
ぼくのママはうんてんし(おおともやすお)福音館書店 2012年

前出2作品で絵を担当した、おおともやすおさんの描く中央線の絵本です。「いちばんでんしゃのしゃしょうさん」の絵を描くうちに、ストーリーが湧き上がってきたのかな?と想像します。おおともさんは、くまたくんシリーズの作者といえばピンとくる方も多いのではないでしょうか。
主人公のぞむくんは保育園に通う男の子。お母さんは中央線の運転士、お父さんは看護師です(配役が現代的ですよね!)。お母さんの誕生日をサプライズで祝うために、お母さんが運転する電車に向かってハートを描いた旗を振ろう!と頑張るストーリーです。
純粋な絵本作家が描くだけあって、前出2作に比べると極めて普通の絵本です(笑。テクニカルな内容は一切出てきません。
舞台は三鷹車両区を跨ぐようにかかっている「跨線橋」。
「走行中の電車に向かって旗を振って、見えるものなの?」と疑問に思いそうですが、実際に跨線橋で運転士さんに向かって手を振ると「プワァァーン」と警笛を鳴らしてくれます。
したがって、三鷹の跨線橋は”子鉄”の聖地になっています。いつも誰かしら親子連れがいて、電車に向かって手を振っています。その様子はさながらアイドルにレスをもらおうとするオタクのような・・・。
残念ながら老朽化のため取り壊すことが決定したそうですが、それまでにたくさん息子を連れて行って思い出を作ってあげたいと思います。
ぐんぐんはしれ ちゅうおうせん(中島章作)小峰書店 1988年

中央線がオレンジ1色だった時代の絵本。国鉄201系が東京駅を出発し、高尾駅に到着するまでの沿線を描いた作品です。
漢字仮名まじり文なので、本来の対象読者は小学生以上でしょうか。文章もかなり難しいです。
例えば御茶ノ水駅周辺を描写したページでは、
「ふかいたにのような かんだがわに かかる ひじりばし。ビルのかげのニコライどう。うつくしいながめのお茶の水です」
といった具合に、実在する建造物に多分に言及します。
当時2歳の息子はこの絵本で「御所トンネル」(四谷〜新宿間にある長いトンネル)、「国立競技場」「絵画館」などのランドマークを覚えました。国立競技場に関しては実際に見に行きたいと言ったので、東京五輪の期間中にわざわざ見物に行きました。
絵本にしては難しい内容なのですが、息子にとってはどうやらガイドブックのようです。私もこれで中央線沿線にだいぶ詳しくなりました。
はしるはしる とっきゅうれっしゃ(横溝英一)福音館書店 2002年
新宿を出発した特急あずさが、町を通り過ぎ山を超えて、終点松本駅まで走る様子を沿線の風景とともに描きます。車両はすでに引退した、E351系です。
福音館書店の「かがくのとも」シリーズということもあり、途中でディーゼル車の説明が入ったり、単線を上下線で走る工夫について解説があったり、ちょっと対象年齢は高めです。
特急あずさ推しのお子さんには、ぜひ読ませてあげたい1冊です。
以上、中央線がテーマの絵本5冊を紹介しました。
当サイトでは他にも電車絵本を特集した記事がたくさんあります。ちらっと中央線が登場する作品もいくつか紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
みなさんの読み聞かせの参考になりましたら、幸いです。