言葉が遅い2歳さんが発語30以下→3語文まで成長した話

もう2歳なのに、あまり喋りません。癇癪もひどく、疲れました。発達障害なのかな?と思うと、不安で仕方ありません。このまま様子見するしかないのでしょうか。

この記事の内容
  • お子さんの現在の言語レベルがわかる
  • 発語を促す取り組み、環境づくりがわかる

息子は、1歳半健診(受診は1歳9ヶ月)に言語遅滞が原因で引っかかりました。「ママ」すら言わず、「バイバイ」もできません。名前を呼んでも無反応。翌月に再度健診しましたが、特に進展はありませんでした。

私は危機感を募らせ、言語発達について自分なりにリサーチ&取り組みを開始しました。

すると…!努力の甲斐あってわずか3ヶ月で3語文を話せるまでに言語レベルを飛躍させたのです。2歳後半となった今ではかなり複雑な文章(敬語の使い分けなど)も話せ、言葉が遅くて悩んでいたことなんて忘れるほど。

早速その方法を、シェアしていきたいと思います。

本文を読む前に

これから紹介する方法は、私の息子に効果があったことは事実ですが、全ての人に通用するかはわかりません。あくまで一例として、ご覧ください。医療機関・療育施設にアクセスできている方は、専門職の方にご相談ください。

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まず、子どもの「言語レベル」をチェックする。

成長チェックリストで、「言語レベル」を確認する

具体的な方法に入る前に、まず「言語レベル」のチェックについてお話しします。

早速ですが、下のチェックリストを見てください。

チェックを入れたのは、1歳10ヶ月時点の息子のできることです。標準発達から4ヶ月遅れといったところでしょうか。あなたのお子さんは、どうですか?

これを見れば、この状況でいきなり「大きい」「小さい」などの言葉を理解させとうとしても無理なことがわかります。

具体的な取り組みを始める前に言語レベルをチェックしておくことは、無駄な努力をしないためにも重要です。また、2~3週間に1度チェックリストを見直すことで、取り組みの成果が可視化されてモチベーション向上に繋がります。

言語の3段階:言葉の習得ステップを知る

もう一つ、大事なことがあるので説明しておきます。

下の図を見てください。

藤崎達宏「0~3歳までの実践版 モンテッソーリ教育で才能をぐんぐん伸ばす!」三笠書房より

言葉はこのように段階を経てインプットされていき、ピラミッドの1番上に到達して、初めて言えるようになると言われています。英語が苦手でも「リスニングのほうがスピーキングよりもマシ!」と感じるのと、感覚的には同じですね。言葉にして話すというのは、難しいことなのです

そこで改めて、先程のレベルチェック表を見てみてください。「言える言葉」に絞ると発語数が少ない子でも、「見たことがある」や「見たことがあり、名前を知っているが、言えない」まで広げてみると、結構増えるのではないでしょうか。

どんなに言葉の遅い子でも、決して頭が空っぽなわけではないことがお分かりいただけたと思います。絶望するのはまだ早いですよ。

次から具体的な方法を紹介しますが、基本的にはこの言葉の3段階のピラミッドを大きくしていく作業だと思ってください。大量にインプットし、関心のありそうなジャンルを見つけ、ひたすら1000本ノックの要領で単語を叩き込んでは、アウトプットさせる・・・の繰り返しです

発語を促す取り組み、環境づくりに挑戦しよう

日常会話によく出てくる言葉( ≒ 赤ちゃん言葉)で話そう

基本的に、「赤ちゃん言葉」が存在するものは最頻出単語です。散歩をすれば「わんわん」「ブーブー」、誰かに会えば「バイバイ」、うちに帰れば「まんま」「ねんね」というように、赤ちゃん言葉を日常会話に使いましょう。

赤ちゃん言葉は簡単に発音でき、習得が容易です。「通じた!」という成功体験は、言葉の学習を楽しくします。

私は息子の発達遅滞がわかるまで、赤ちゃん言葉は避けてきました。気恥ずかしかったのです。

でも、変なプライドを捨てて大正解!

息子は赤ちゃん言葉をきっかけに、普通の言葉もぐんぐん吸収していきました。

ちなみに、赤ちゃん言葉は癖になりません。例えば、初めは乗り物すべてが「ブーブー」ですが、すぐに「パトカー」「消防車」など個別の名称を覚えていくので、「ブーブー」の出現頻度は自ずと下がります。そのうち「車」と言う総称を理解し、気がつけば「ブーブー」とは言わなくなるのです。その間3ヶ月くらいなものでしょうか。

モンテッソーリ教育の「セガンの3段階の名称練習」にチャレンジ

モンテッソーリ教育には、概念と言葉を結びつける活動として「セガンの3段階の名称練習」という活動があります。

やり方はこんな感じです。

ママ
ママ

これは、ボール。<第1段階:ものと名称を結びつける>

ママ
ママ

ボールはどれかな。ボールをちょうだい。<第2段階:繰り返し聞いて、結びつきを確認>

ママ
ママ

これはなにかな。<第3段階:ものの名称を答えさせる>

もちろん最初は答えてくれませんが、何回も繰り返すうちに「なるほど。このツルツルして丸いものをボールというのだな」と理解し、「ボールをちょうだい」と頼むと、手渡してくれるようになります。

我が家ではこれを、多くの療育施設でも使われているというおもちゃ「くるくるチャイム」を使ってやってみました。

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くるくるチャイムは、5色のボールが付属しているので「赤いボールをちょうだい」「このボールは何色かな」という具合に、色を覚える練習にもなり優秀です。

くるくるチャイムでの練習に慣れてきたら、次はピックアップパズルを試してみました。

「これは、ぶどう」「ぶどうはどれかな」と探した後に、「ぶどうをはめてみてごらん」と促します。どれも絵本によく出てくるモチーフなので、「これは絵本で見たやつだね」と話しながら遊べて楽しいです。

絵本の多読で語彙力アップ!絵本に親しむ環境を整えよう

言葉が遅い子は、おそらく絵本をあまり読み聞かせてもらっていないと思います。私の息子も、絵本はもっぱら食べる専で、ビリビリに破壊しては美味しそうに(?)齧ってました。

「どうしたらもっと絵本に興味を持ってくれるだろう」と考え抜いた結果、私が導いた答えは次の2つです。

  1. 子ども部屋に、表紙が見える絵本棚を置く
  2. 子どもの言語レベルにあった絵本を多読する

1. 子ども部屋に、表紙が見える絵本棚を置く

絵本棚の効果については、以下の記事で細かく解説しています。

結論から言うと、息子は表紙が見えるタイプの絵本棚を導入後、人が変わったように「本の虫」になりました

我が家では絵本棚にこだわりすぎて自作してしまったのですが、安価に手に入る既製品の紹介もしているので参考にしてください。

絵本棚を自作してみた【設計図・作り方・パパのDIY】

2. 子どもの言語レベルにあった絵本を多読する

「絵本に興味を持ってくれない!」と嘆く前に、「実力相応の本を与えているだろうか?」と問い直してください。

例えば我が家の例ですが、「言葉が遅い」と悩んでいた時、うちにあったのは区のブックスタート事業でもらった「いないいないばあ」と「じゃあじゃあびりびり」、そして「はらぺこあおむし」だけでした。どれも王道の作品ではありますが、実はこれらの本は息子の言語レベルに全くあっていなかったのです

有名な「くもんの推薦図書」や「家庭保育園推薦リスト」、絵本ナビの月齢別おすすめも一通り調べましたが、言葉が遅い子にとってはあまり役に立ちませんでした。そこで自分の足で図書館に通い詰め、実際に息子に300冊以上絵本を読み聞かせることで、言語レベル別の最適な絵本をリストにまとめました

言葉が遅い子におすすめの絵本【図書館で借りられる】

図書館にあるメジャーな作品ばかりですので、ぜひ読んであげてください。

絵本の読み聞かせのポイントは、次の3つです。

1. 「絵本読んで」とお願いされたら、いついかなる時でも優先して即読む

 「ちょっと待ってね」は、絵本の前では禁句です。子どもは賢いので、絵本を持ってくれば親が必ず自分に構ってくれることはすぐに覚えます。絵本は自然と好きになります。面倒ですが、この努力は100%報われます

2. 読み聞かせ中に子どもが遊び始めても、読み続ける

息子は読み聞かせ中に手持ち無沙汰になり、おもちゃで遊び始めることはしょっちゅうです。でも、驚くほど耳は絵本に集中しています。大人にとって、音楽を聴きながら仕事する感覚でしょうか。お気に入りの絵本なんかは本文を暗記しているので、別のおもちゃで遊びながら内心「次はこのセリフがくるぞ」と、ワクワク。ママがそのセリフを読むと「やっぱり!」と静かに喜んでいるようです。遊び始めても咎めずに、読み続けてあげてください。

3. 絵本に出てきたものに興味を示したら、実物を見せにいく

例えば我が家では、「ふみきりくん」という絵本を読んだ後、電車で踏切を探しにいく旅をしました。絵本で見たものを実際に見て、感じることで、絵本に対する興味や集中力が養われます

言葉を間違ったら、正しい単語でやんわりと訂正する

子どもが言葉を間違って使っていたら、どうしたらよいのでしょうか?

例えば息子は、1歳9ヶ月の時に突然「キイロ」を覚えました(ママパパより先に、です)。そして手当たり次第、カラフルなもの全てを「キイロ!キイロ!」と指さすようになったのです。明らかに赤や青をしているものも「キイロ」と言って憚らないので、「この子は色盲なのかも」と当惑しました。

しかし、心配は無用でした。

以下、超重要なのでそのまま引用します。

「ワンワン」を犬だけでなく、うま、うし、ねこなど動物全般に対して使ったり、「ブーブー」を自動車だけでなく、バスや 電車などの乗り物にも使ったりすることは、よくみられます。 このように、言葉とは目の前で大人がたま たま言った、たった一つのものだけを意味するのではなく、それに「似ているものすべて」 の名称なのだということを、こどもは言葉の使い始めの時期から知っています。このことは、言葉を獲得していく上で、とても重要なことです。それは、こどもが言う単語がまちがっていれば、おとなが訂正して正しい単語を教えてくれるからです。

愛知県青い鳥医療福祉センター ことばの理解と発語の発達 のびやか19号(H15年1月) より

息子は「色が塗られている状態」をすべて「キイロ」だと考えたようなのです。

そこで私は穏やかに、「キイロだと思ったんだね。近いね。これは赤だよ。」と訂正し続けました。もちろんたった1日では理解できないので、これを何日も繰り返し訂正する必要があります。ストレスは溜まりますが、おかげで息子は「間違ってもいいから、とりあえず発言してみる」タイプの積極的な性格になったと感じます。

3. まとめ

結論!

話せる言葉が少ないからといって、頭が空っぽなわけではありません。

言葉は3つの段階を経てようやく話せるようになります。まず「見たことがある」ものの数を増やしましょう。そのためには、たくさん絵本を読む必要があります。絵本に興味を示さない子は、絵本に親しむ環境を整えてあげてください。

まず、表紙の見える絵本棚。これで、子どもの「読んでみたい」気持ちが膨らみます。

絵本棚を自作してみた【設計図・作り方・パパのDIY】

次に、選んでいる絵本が子どもの言語レベルにあっているかを確認します。具体的な作品名は、次の記事をご覧ください。

言葉が遅い子におすすめの絵本【図書館で借りられる】

そして絵本で気になったものは、実物を見せましょう。リアルな体験と物の名称が結びついて、「見たことがあるし、名前を知っている(でもまだ言えない)」レベルの語彙が増えていきます。知っている単語が増えれば、指差しゲームができるので、子どもも言葉を覚えるのが楽しくなるでしょう。くるくるチャイムやピックアップパズルを使って、遊びながら発語を促す練習も有効です。

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これを毎日続けることで、息子はたった3ヶ月で一気に3語文を話せるまでに飛躍しました。取り組みの最中は「いつまで続くんだろう」と心が折れそうにもなりましたが、定期的に冒頭の「成長のチェックリスト」を見返して、わずかな成果を確かめては自分を励ましていました。

言葉を習得すると、子育ては少し楽になります。気に入らないことがあれば癇癪を起こして暴れ回るだけだった子が、自分の気持ち、やりたいことを言葉で表せるようになるのです。大変な道のりですが、努力の甲斐はあります。一緒に頑張っていきましょうね。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。