インターナショナルスクールに入れて後悔する親子の特徴

インターナショナルスクールに進学すれば、学費は高いし、上手くいかなかったからといって簡単に公立小には移れないし・・・。みんなが、インターで後悔したことを知っておきたい!

昨今、インターナショナルスクールへの関心が高まっていると感じます。

港区に住んでいた頃、まだ子どもが哺乳瓶をにぎりしめているときから、ママ友たちとプリスクールの話題で盛り上がりました。

そんな筆者は、海外移住の準備中です。海外移住は、学生時代からの夢でした。

ふたりの子どもは、移住先ではインターナショナルスクールで学校生活を送る予定です。

筆者たち夫婦は中流家庭出身で、インターはおろか海外留学の経験すらありません。ビジネスレベルの英語力はありますが、各教科を英語で学べといわれたら、小学校レベルからついていけるか怪しいです。

自分にもできないことを、幼い我が子に要求するのはどうなのだろう・・・。

移住は夫婦たっての希望とはいえ、「親の夢に子どもを巻き込んで、彼らの人生を台無しにはしないだろうか。せめて背伸びしてインターなどに入れず、日本人学校に通わせるべきだろうか」という不安が頭をかすめます。

そこで、「インターという選択を失敗に終わらせないために、いまから何ができるだろうか?」と、本気でリサーチを始めました。この記事は、そのレポートというわけです。

この記事を読むと、次の質問に答えられるようになります。

  • インターナショナルスクールに子どもを通わせている親って、どんな人たち?
  • インターナショナルスクールに入れて後悔するのは、具体的にどんなこと?

後悔しないための具体的な取り組みについては、別の記事にまとめています。

インター生のための、バイリンガル育児のコツ

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インターナショナルスクールに生息する親子には、4つのタイプがいる

筆者の調査によれば、インターナショナルスクールに生息する親子には、大きくわけて4つのタイプがいます。

国際結婚ファミリー

国際結婚ママ
国際結婚ママ

夫が英語ネイティブ。子どもたちには英語を母語として育ってほしい。日本語は、喋れたらそれでいいかな。

このタイプは、子どもの教育についてこんな価値観をもつ傾向がみてとれます。

英語:ネイティブレベル

日本語: ビジネスレベル(漢字は書けなくても、正しく変換できればオッケー)

入学前の取り組み:特になし

入学後のサポート:特になし

お金持ちファミリー

お金持ちママ
お金持ちママ

高校生になったら、海外のボーディングスクールに通わせるのもいいな。英語で学問を…っていうよりは、人脈づくりや色んな経験をすることを重視してるの。

このタイプは、子どもの教育についてこんな価値観をもつ傾向がみてとれます。

英語:ビジネスレベル以上

日本語:ビジネスレベル(漢字の読み書きはできてほしい)

入学前の取り組み:英語の絵本の読み聞かせ、YouTubeで英語のアニメを見せる、地域の子どもむけ英語イベントへの参加、(小学生以上では)サマースクールに参加

入学後のサポート:インター校の生徒を専門とする学習サポートサービスや、家庭教師の利用

英語教育のプロフェッショナルファミリー

英語教師ママ
英語教師ママ

インターの勉強サポートにも自信あり。英語で教科を学習してほしいけれど、母語はあくまでも日本語。家庭では、日本語で学ぶ力をフォローアップするよ。

このタイプは、子どもの教育についてこんな価値観をもつ傾向がみてとれます。

英語:アカデミックレベル以上

日本語:ネイティブレベル

入学前の取り組み:かけ流し、英語の絵本の読み聞かせ、英語での語りかけ

入学後のサポート:公文、Z会などの通信教材

海外駐在ファミリー

駐妻ママ
駐妻ママ

せっかく海外に住んでいるのだから、インターに通わせたい。でもいずれ帰国する時のために、日本の勉強についていけるだけの力はつけさせるよ。

このタイプは、子どもの教育についてこんな価値観をもつ傾向がみてとれます。

英語:ビジネスレベル以上

日本語:ネイティブレベル

入学前の取り組み:特になし

入学後のサポート:家庭教師、Z会などの通信教材、日本人学校の補修校に通う

筆者は、この4つの中では「海外駐在ファミリー」タイプに近いです。

そこで、インターナショナルスクールという選択を成功に導くために、ほかの「海外駐在ファミリー」がどんな準備をしてきたのか、またどんなことにつまづいて失敗してしまったのかをリサーチすることにしました。

そこからわかったことは、「国際結婚ファミリー」以外の純ジャパ家庭には、どのタイプでもインターナショナルスクールに通わせて後悔する、共通のパターンがあることでした。

インターナショナルスクールに通わせて後悔する、3つの原因

筆者のリサーチによれば、インターナショナルスクールに通わせて後悔している親たちは、次の3つの失敗談のうちのどれか、あるいは複数を「後悔している理由」にあげていました。

  1. 日本語能力が、思っていたよりも低下した
  2. 学年相当の英語力がないことに、気がつけぬまま放置してしまった
  3. 子どもの学校生活をサポートできなかった

1つずつ、みていきます。

[インターナショナルスクールで後悔①] 日本語能力が、思っていたよりも低下した

ここでのポイントは、日本語能力が、思っていたよりも低下したという点です。

信じられないことに、特別な取り組みをしなければ、純ジャパ家庭でも日本語能力はみるみる落ちます。

ひとつ、具体例を共有します。

以下に引用するのは、お嬢さんを3年間プリスクールに通わせた結果、日本語能力の低下に危機感をもち、インターをやめて私立小に進学させたというお母様のブログです。

年長になる少し前

「あの人、こども何人飼ってるの?(※何人お子さんがいるか)」

「犬、持ちたいな~(※犬、飼いたい)」

こういった発言をしていたのでちょっと危機感を覚えました。

幼児は間違えながら言語を習得していくと思います。今はまだ間違えても大丈夫だけれど、この先大きくなってもこれが続いたら…。

・この先英語圏に住むことは現状で予定していない

・国籍は日本、外見もアジア人

→そんなわが子が”正しい日本語を使えない”のは、英語ができないよりも遥かにヤバいと思いました。

「もったいなくない?」と言われても。インタープリから小学校受験を志した理由子連れ再婚星子のゆる知育ダイアリー

この方はお嬢さんと真摯に向き合い、前向きに進学先を変更できたので、プリスクールに通わせて失敗とはいえないでしょう。

しかし、この方のように「インターに通いながら、日本語能力も年齢相応に引き上げるためには親に相当なコミットが求められる」と途中で気がつけなかった場合には、悲劇が起こります。

[インターナショナルスクールで後悔②] 学年相当の英語力がないのに、放置してしまった

毎日英語のシャワーを浴びていれば、嫌でも英単語は覚えますし、発音も良くなります。

しかし発音が綺麗なことと、英語で教科を学び、思考し、良質なアウトプットを行う能力があるかどうかは別問題です。

具体例を挙げます。

筆者は、社会人になってから海外ドラマ「フレンズ」にどハマりし、英語力をアップさせた経歴があります。

なんと総視聴時間は1168時間以上(ちなみに日本における小学校〜大学の英語の総授業時間は約736時間だそう。)

その甲斐あって、美しい発音で英語を話すことができますし、TOEICも対策なしで945というスコアでした。学生時代には、どんなに対策しても750を超えることはなかったので、たいした進歩です。

しかし、年齢に相応しい言葉遣いで会話ができるかと問われれば、答えは「ノー」。

「フレンズ」はタイトルどおり、20代男女の友人グループが主役のコメディです。友人同士の砕けた話法はたくさん学べますが、フォーマルな場に相応しい言葉遣いは教えてくれません。

筆者はなまじ美しい発音を手にしたばっかりに、英語を話すと「馴れ馴れしくてバカっぽい奴」になってしまったのです。実際、オンライン英会話を受講すると講師に一言一句直されます。

保護者に英語力がなければ、我が子の稚拙な英語に気がつかぬまま放置してしまいかねません。

[インターナショナルスクールで後悔③] 子どもの学校生活をサポートできなかった

国内のインターは日本人職員を配置していますが、何から何まで助けてもらうわけにはいきません。

もし親が英語ができないと、例えばこんな困りごとが発生しそうです。

  • 宿題のサポートができない(子どもがどの程度授業を理解しているのか分からない)
  • 学校からの連絡事項がわからない
  • 校内でトラブルが発生しても、上手に相談できない
  • バザーやボランティア活動など、保護者主体のイベントに協力できない

これは地獄です。

ちなみに英語が得意でも、学校生活のサポートは大変です。特に共働き家庭にはかなり厳しいです。

  • 長期休暇がとっても長い(夏休みは3ヶ月弱!さらに独自の休日も多い)
  • 突然、休校になったり午前授業になったりする(前日予告とかで)
  • 突然、イベントが発生する(「明日は、母国の民族衣装を着て登校してください!」とか)
  • 給食がない(ケータリングサービスが使えても、脂っこかったり、冷めていたりして美味しくないそう)

そのほか、寄付の機会が多い、校庭が狭い、子ども用の設備(子どもサイズのトイレ、洗面台など)がない、などなど。

こういったインターナショナルスクール特有のカルチャーショックについては、こちらの書籍を読むと、面白おかしく学ぶことができます。2人のお子さんを西町インターナショナルスクール(港区)に通わせたママさんによる、「インターあるある本」です。身近にインターに通う子がいなくても、この本を読めばおよその雰囲気をつかめます。


さらに面白い本が2冊あるので、紹介させてください。

筆者はこの本を読んで、よい意味で危機感が高まりました。「いかにも、わが家も同じ失敗をして落ちこぼれそうだ」と身につまされるエピソードが、鮮やかに書かれているからです。

① Masato 岩城けい

お父さんのオーストラリア転勤についていき、英語がわからぬまま現地の公立小に放り込まれた男の子のおはなしです。チック症が出るほどのストレスをかかえながら、学校生活に何とか食らいついているのに、「子どもは簡単に英語ができるようになっていいわね」と呑気にいう家族。月日が経ち、だんだんと英語が話せるようになると、今度は日本に比べて勉強が遅れていることや、日本語能力が落ちていることをヒステリックに怒るお母さん・・・。

フィクションではありますが、幼い子どもが抱えるストレスや残酷な感情がヒシヒシと伝わってきて、わが事のように胸が締めつけられました。

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②ニューヨーク日本人教育事情 岡田光世

豊富な取材をもとに、ニューヨークに住む日本人子女の教育事情を明らかにする1冊。

オール英語の環境に子どもをおけば、苦労しつつもバイリンガルになって、受験や就職で有利にしてやれるはず・・・。

つい親が抱いてしまうそんな期待を、本書は「幻想」と一蹴します。

親子の関係が破綻したり、精神疾患に苦しんだり・・・。

初版1993年という古い本ですが、本書に登場する親子のありようは、前出の『Masato』(2017年)とそっくり重なります。

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筆者はこれらの本を読み、「子どもをオール英語の環境に送りこんで失敗する家庭には、共通のパターンがある」と確信するに至りました。

そして、この記事を書いたのです。

「インターに通ってよかった」と親子で笑うために

では、インターで学ぶという選択を失敗ではなく成功にするために、具体的にどんなことができるのでしょうか。

家庭でできる取り組みについては、こちらの記事にまとめました。

インター生のための、バイリンガル育児のコツ

親の負担は大きいですが、わが家では「必要なこと」とわりきって取り組んでいます。

  • インターナショナルスクール入学前に準備すべきこと
    • 「おうち英語」で、学校生活でつかえる最低限の英語力を身につけておく
  • インターナショナルスクールに通う子どもをバイリンガルにするためにやること
    • 学年相当の日本語能力を維持する取り組み
      • ① 絵本・児童書の読み聞かせ
      • ② Z会の教材
      • ③ 日本の小・中学校で採用されている検定教科書
    • 日本人としてのアイデンティティを形成するための取り組み
      • ① 日本人なら小学校で学ぶ、生活動作を練習する
      • ② 日本の伝統文化・行事に親しむ
      • ③ 童謡や手遊び歌に親しむ

楽にバイリンガルになる方法なんて、ないんですよね。

一緒にがんばりましょう。