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偏差値が高い人は「すごい」のか?
偏差値高い人の発信に、目を奪われる。
お子さんを難関校に入れたママとか、エリート大卒のママとか、すごいなーと思いつつモヤモヤ
だって難関大出身ママのインスタ見ると、凡人の私には思いつきもしない知育やってるもんね。偏差値高い人は、子育てのレベルも高いんだなー。私がマネしたって、声掛けは下手だし、知識はないし。それに、うちの子はきっと興味示さない。
- ◯◯大卒業ママ
- ◯◯学校に子どもを合格させたママ
は、子育て世代に大人気です。特に子どもを◯◯大に入れたいわけじゃないけど、つい気になってしまいます。
◯◯大は大抵、東大ですが、それ以外のこともあります。でも大東文化大や帝京平成大ではありません。
- 大東文化大卒ママ
- 帝京平成大学に子どもを4人合格させたママ
が表に出てこないのは、その大学がすごくないと思われているからです。
では、東大卒のママはすごいのでしょうか?偏差値が高いから、すごいに決まっている。本当にそうでしょうか?
偏差値が高くても、すごくない3つの理由
「偏差値が高い」と言って通じるのは、日本だけです。※
※偏差値(deviation value)を、学力をはかる目的で使うのが日本だけという意味。統計学の概念としては、全世界で使われています
脳科学者の茂木健一郎氏は、日本の教育界で偏差値が使われるようになった経緯をこう説明します。
まず大学の入試担当者にとっては、ペーパーテストで一律に入学者を決めるのがコスト的に一番楽なんです。 (中略)年号とか史実に基づく問題だったら、採点者は絶対にこの解答は正しいと言えるし、採点もパッパとできるから簡単でしょう。だから入試を実施する側の都合なんです。何万人という志願者が来たほうが受験料を取れるから儲かるわけだし、その選抜の結果も点数で返事をするのなら、みんな、しょうがないと納得してきた。
茂木健一郎、竹内薫『10年後の世界を生き抜く最先端の教育』P174
さらに、1人が出願できる学校の数に制限があります。これは中学校受験も一緒です。
第二に、日本の大学入試の一番隠れた構造問題は国立大学の併願ができないということです。たとえば東大、一橋、京大、東北大、北大を併願して、「ここと、ここと、ここから入学許可が来たから、私はここに行きます」ということはいまできないでしょう。
茂木健一郎、竹内薫『10年後の世界を生き抜く最先端の教育』P175
2017年に出版されたこの本が指す「10年後」は、2027年。いまの教育環境を見ていると、本書が指摘している課題は解決するどころか悪化の一途を辿っている気がしてなりません。
たった一校しか出願できないなら、絶対落ちたくないですよね?
せっかくなら東大に挑戦したいけど、私なら受かる!って確証がないと、申し込むの怖いですよね。
1960年代、全国の塾・予備校の講師が知りたがっていました。
「生徒たちを1校でも多く合格させたら、ボーナスがもらえるんだ。うちの生徒は、ワンチャンあるのか?」
こうして1960年代半ばから、じわじわと偏差値という評価軸が全国に広がっていきました。
偏差値とは、受験生の模試での成績と、本番での合否を照らし合わせて、
「模試で偏差値60なら、この学校には80%の確率で受かるだろう」
と弾き出すことでできています。
ですから、
偏差値が高い学校=教育の質が高い学校、ではないのです。
おかしな話です。子どもたちは教育を受けるために受験するのに、偏差値ランキングには肝心の教育の質は一切反映されていないのです。
先ほど偏差値は日本でしか使われていないと言いましたが、他国にも学校ランキングは存在します。ですが、その評価軸はこんな感じです。
わかりやすくアメリカを例に出しましたが、他の国も似たり良ったり。少なくとも、入学試験の難しさで学校を格付けしている国はありません。
なぜなら、日本以外の教育界では、
良い学校システムというのは、入学しやすくて卒業しにくい、なので入り口の難易度を図る意味がない
という共通認識があるからです。
偏差値は、学校が行っている教育や、そこで身につく学力とは全く関係のない指標だということがわかりました。
で、でも入試が難しいってことは、やっぱりレベルが高い子が集まるってことじゃないの?
いいえ、そうでもありません。
以下は、中学受験のプロ同士の対談です。
暴露はまだ続きます。
安浪
塾が「この学校、おもしろくない」と思ったら、意図的に偏差値を下げますしね。「おもしろくない」というのは、塾に対する態度が悪かったりするという意味ですけど。何もしなくても生徒が集まる学校はいいけれど、そうじゃない学校は、塾との付き合い方で偏差値が決まるんです。
おおた
それこそ、塾の偏差値一覧に名前を載せてもらえるかどうか、というふうにね。すべての学校が偏差値表に載っているわけじゃないので、載せてもらえていない学校は一生懸命、塾に営業して、「一番下でもいいから載せてほしい」と頼みこむんです。
おおたとしまさ 、安浪京子『中学受験の親たちへ~子どもの「最高」を引き出すルール』大和書房
もう、バカバカしいですよね。
偏差値で自分と他人を比べることが、どれほどアホらしいか。
これほど荒唐無稽なのに、いまだに偏差値が有り難がられるのは、
偏差値は、偏差値の高い人にとって既得権益だからです。
偏差値は、特定の学校の入試形態に特化した超限定的スキルしか説明しないのに、世間様のほうが勝手に「すごーい!」と、持ち上げてくれるのです。しかも、何十年前の合格実績であっても、みんなが偏差値を信奉する限り、名誉は不滅なのです。
個人的には、社会に出て何年も経つのに、出身大学の名前(あるいは過去に所属した会社の名前)で箔をつけようという人は信頼していません。
でも、難関大卒のママさんは頭脳明晰で素晴らしい知育をしていて、すごいと思うんだけど💦
どの集団にも頭脳明晰な人はいます。だから、その人がどこの学校出身とか関係なく尊敬できるなら、良いロールモデルなのかもしれません。