自然災害・悲惨な事故のニュースを、子どもが目にしてしまうことってありますよね。
一般的には、7歳未満にはニュースを見せないとされています。しかし、悲惨なニュースを完全に遮断することはできません。私が初めて戦争報道を見たのは、5歳のとき。家族で訪れたレストランのテレビで目撃したのですが、こんな不意打ち、親として防ぎようがありません😅
では、子どもが世界の大惨事を知ってしまった時、そのショックを親はどのように和らげてあげられるでしょうか?
解決策は2つあります。
誰もが平和と安全を願いますが、実際のところ、この世界では恐ろしいことが起こります。これら解決策を頭の片隅に入れておくと、いつか役立つはず。
そこで、先日の能登半島地震をめぐる報道を目にした子どものケアをどのように行なったかを前後編に分けてお送りします。前編では、「世の中の現実について年齢にふさわしい情報を与えること」をどう実践したかを書きます。
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世の中の現実について年齢にふさわしい情報を与える
世の中には悪いこともある、と一度も警告されなかった子どもは、虹と子犬でいっぱいの世界から、邪悪なものも存在する世界へと一気に突き落とされる。このギャップは大きい。一番望ましいのは、子どもを実社会から完全に遠ざけるのではなく、ゆるくフィルターをかけた状態で世の中を見せること。
P222 エイミー・モリーン 長澤あかね訳「メンタルが強い親がやめた13の習慣」講談社
2024年1月1日の夕方。私は子どもたちと一緒に、都内の実家でくつろいでいました。
揺れが長く続いたので、「どこかで大きな地震があったのではないか?」とNHKをつけると、北陸一帯がとんでもないことになっていました。
女性アナウンサーが「すぐに逃げること!」と叫び、画面には「つなみ!にげて!」と巨大な文字が表示されています。ただならぬことが起きているのは、3歳の娘の目にも明らかでした。娘は「怖いから見たくない」と言って、自ら別室へ離れました。
5歳の息子は、違いました。
息子は「このテレビ面白い!」と興奮し、見たがりました。 アナウンサーが叫んでいるのが、面白いと感じたそうです。
正直に言うと、私も見たかったのです。
津波警報が出ている町には友人が1人住んでいますし、アナウンサーが叫んで避難を促すのは、私にとっても初体験でした。(東日本大震災の反省を踏まえて、わざと声を張り上げるように避難を呼びかけているという事情は、もともと知っていました→NHK取材ノート)
40分くらいは見ていたでしょうか。やがて日が沈みました。
映像から様子が確認できなくなったのを良いことに、テレビを消しました。
私は、この世界はときどき最悪なことが起こるけれど、人生は生きるに値すると信じています。また子どもたちにも、そう思ってほしいと願います。
ですから、人間は最悪な事態にも対処できるし、いまこの瞬間も他人を助けるために身を砕く人がいるという、明るい部分にフォーカスして話をしました。緊急ニュースの最中、息子に話したのはこんな内容です。
- 私たちや家族がいる場所は、被災地から遠いので安全
- アナウンサーが叫んでいるのは、現地でぐっすり寝ている人を起こすため。こういう時は叫ぶという決まりがあるだけで、アナウンサーが怖い目にあっているわけではない
- 現地では、消防士さんやお巡りさんが、みんなを安全な場所に避難させている
- 日本は地震が多いのでこういうことは時々起こるけれど、日頃から備えているから大丈夫。(あなたも保育園で避難訓練をするでしょう?)
- こういうニュースを見て、怖くなったり不安に思ったりするのは自然なこと。怖くなったらすぐ教えてほしい
逆に息子からは、こんな質問を受けました。
- 津波ってなに?
- 「逃げて」と言われた人たちは、助かったの?
- 家が潰れていたけれど、大丈夫なの?
私はこれらの質問に、結論が「〜だから大丈夫」となるように、優しい嘘で答えました。
津波についてはサラッと説明した上で
海で遊んでいた人は、みんな高いお山に逃げたから大丈夫。お山には避難所があって、今ごろ温かいラーメン食べてゆっくりしているから大丈夫。みんな朝になったら、お家に帰れるから大丈夫
不幸にもうっかり1棟だけ、潰れた木造家屋を見せてしまったのですが
あれほど古いお家には、誰も住んでいないから大丈夫
と説明し、乗り切りました。
目にしたこと(大地震が起きた・津波の警報が出た)は事実ですが、真実を正確に知らせる必要はないと思います。小学校低学年までの子どもなら、いたずらにショックを受けるだけです。
息子は夕食後にもテレビを見たがりましたが、それは
もうお外真っ暗だから、何も見えないよ
と言って拒否しました。その頃にはスマホで、現地がかなり悲惨なことになってしまったのを知っていたからです。火災の映像や、泣き崩れる被災者の映像なんか見てしまったら、もう誤魔化せません。
翌朝、またテレビを見たがったので
大きな津波はこなかったよ。ママのお友だちもお家に帰れたって(これは本当)
と教えると、日常に戻っていきました。
後編に続く